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ベルリンの高層ビル、シュテーグリッツァー・クライゼルの今の姿にビックリ

ベルリンの西側、地下鉄U9が走るシュテーグリッツ地区に来ると、誰もが「?」となるのが、Steglitzer-Kreisel。

例えて言うならば、「うまく引き抜いたジェンガみたいな状態」のこのビル、建設から今の状態になるまで、紆余曲折の歴史を持っている建物なんです。

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シュテーグリッツァー・クライゼル

ベルリンで3番目の高層ビル

地下鉄のU9の終点、Rathaus Steglitzの駅と一部、連結している、Steglitzer Kreisel(シュテーグリッツァー・クライゼル)。ベルリンではあまり高い建物がないので、目立つ建物の一つ。現時点で120メートルの高さを誇るこのビルは、ベルリンで3番目に高いビルなんです

現在(2019年)の外観

近くだと分かりづらいのですが、離れた場所から見ると、まるで上手に引き抜いた抜いたジェンガみたいに枠組みだけが残っています

上に備え付けられた大型のクレーンが建材を上げている光景も見られるのですが、下は交通量の多い大通り。近くを通るとちょっと怖い感じがします。

Steglitzer Kreisel
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建設時のスキャンダル

このSteglitzer Kreisel、実はただの高層ビルではありません。長年に渡り、スキャンダルな話題を提供するような、トラブル続きのビル・・・。

建設会社倒産

このシュテーグリッツァー・クライゼルは女性建築家、Sigrid Kressmann-Zschachによる設計で1968年から1980年にかけて建設されました。しかし、建設の途中でこの建築家の経営する建設会社が破産・・・。建設続行が危ぶまれました。

公的資金

その後、ベルリンから多額の資金が流れ、予算を大幅にオーバーしながらも完成、オフィス部分はこの地区の役所として使用されていました。

政治家との癒着?

多額の公的資金が流入した後、ベルリンの政治家と建築家との間に癒着があったのではというスキャンダルが。政治家は最終的には辞職に追い込まれ、当時、大騒ぎになったそうです。

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アスベスト問題

予算を大幅にオーバーしながらも完成、オフィス部分はこの地区の役所として使用されていましたが、入居から約10年後にまた大きな問題が・・・。

テナント退去

1990年、この建物の建材にアスベストが使用されていたことが判明、2007年までにオフィス部分に入っていた区役所は全て退去、移転することに・・・。

アスベスト除去作業と空きビルとしての10年間

下の階のホテルや店舗、地下鉄とバスとの連絡部分は今も使用されていますが、上のオフィス階は2007年以降、10年以上の間、再び利用されることはありませんでした。

空きビルになった後、数年に渡るアスベスト除去作業が行われましたが、一番問題だったのは、「除去作業後、どのようにこのビルを使ったらいいか?」。空きビルでも年間に一定の費用が発生するため、お荷物的な存在だったようです。

売却と改築工事

シュテーグリッツァー・クライゼル
売却額

紆余曲折を経て、2017年に現在、工事を行なっている会社に売却されました。建設時から公的資金が流れ、アスベストの除去作業、その後の管理費などものすごい額が流れた建物ですが、売却時の価格は2100万ユーロ程度だったそうです。

高級タワマンへ

現在の大規模改築工事によって、2021年に高級タワーマンションに生まれ変わる予定のシュテーグリッツァー・クライゼル。

完成予定のマンションは30階建、一番安い物件で31万2000ユーロ(約4000万円)、高いものは285万ユーロ(約3億7000万円)の販売価格が予定されています。

まとめ

完成から30年未満で使えなくなった元々のビルの建築費用、アスベストの除去費用なども含めるとものすごい金額が流れた建物・・・。アウトバーンのすぐ側ですが、高級タワマンの完成予定図からはその金額に見合うゴージャスな眺めが堪能できそうです。

シュテーグリッツァー・クライゼルへのアクセスですが、地下鉄のU9、Rathaus Steglitz駅の上。近くで見るよりもちょっと離れた場所から見た方が全体がよく見えると思います。ジェンガ状態の写真は2019年5月の時点での撮影です。